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   宍戸の肩から胸元にかけて回された鳳の腕には、強い力が込められている。

   それが、鳳の思いの強さと比例しているようで、宍戸は頬が染まるのがわかった。


   もう、何度も、鳳には好きだと告白されているけれど。

   言葉よりも、彼の態度の方が、ずっと素直に気持ちが表現されているように思える。


   「長太郎……。俺もお前と同じだ。お前とこうなれて……嬉しいよ。」

   宍戸が、名前を呼びながら、愛しい人の方へ振り返ろうとする。 


   鳳は、そんな可愛らしい事を言う宍戸の唇を奪い、激しく吸い上げた。

   小さく開かれた口唇から、鳳は舌を深く差し入れると、宍戸の口蓋を嘗め回し、

   その柔らかな舌先を何度も味わった。


   宍戸も必死で舌を合わせてくるが、鳳の激しい舌の動きに翻弄されて、息をすぐに

   乱してしまった。


   「あ、あ。……長太郎! 」

   息もうまく付けず、あふれた唾液も飲み込めずに口唇から垂らし、宍戸は苦しげに泣き声を

   出し始めた。


   そんな切ない表情も可愛らしくて、鳳はもっと強く口唇を貪ってしまう。


   宍戸を相手にしていると、鳳はすぐに我を忘れてしまう。


   この甘い口唇も、言葉も、心も、身体全部が、今は鳳長太郎の
物になったのだ。

   鳳は、それを思うと興奮のあまり身震いする。今まで生きてきて、こんなに誰かを欲しいと

   思った事はなかった。


   そのまま背後から、小柄な恋人の身体を撫で回した。


   宍戸は丸首のシャツとジーンズと言う軽装だった。その薄いシャツ越しに肌をさする度に

   身体を小刻みに震わせていた。


   「うあっ! 長太郎! 」

   鳳が胸を触り始めると、宍戸が小さな悲鳴を上げて、木の手すりに爪を立てるように

   しがみついた。


   鳳は、手の平で確かに感じた硬い粒の感触に、宍戸の気持ちの
高まりに気がついて、

   嬉しそうに笑った。


   「宍戸さん。こんなに乳首が硬くなっていますよ。気持ちが良いんですか? 

   本当に敏感ですね。嫌らしくて、なんて可愛い身体なんだろう。」


   鳳は、感嘆したようにそう言うと、シャツの中へ両手を入れ、その二つの尖りを直接、

   指先で摘んだ。
宍戸の反応を見ながら、優しく揉んであげた。

   芯はコリコリとしているが、弾力があって柔らかな出触りだった。


   「長太郎! 止めろ! 外から俺達は見えているぞ! 」

   周りには、今、4〜5隻の船が停泊している。

   自分達からほんの50メートル先に、隣の船が浮かんでいるのだ。

   真っ暗な夜空のせいで、視界が利かないといっても、宍戸の瞳には、隣の船の開け放たれた

   窓辺に、人の影が揺れているのが見えていた。

   きっと、向うからは、自分達二人の姿もわかっているのに、違いなかった。

   宍戸が抵抗して暴れる度に、シャツがまくれ上がり、白いすべすべした腹が剥き出しになる。

   鳳は、その肌の美しさに興奮し、思わず、宍戸の頬に口唇を当てキスをした。


  「宍戸さん、誰も俺達なんて、見ていませんよ。みんなが見ているのは……。

   ほら、あれですよ! 」


   宍戸が促されて上空を見ると、パッと明るい光の輪が広がった。 


   次に真っ白な尾を引いて、水面に流れて行く光の帯があった。


   打ち上げ花火が始まったのだった。


   岸辺や、周りの船から、大きな歓声が上がっている。


   宍戸の頭上で、白い巨大な花が次々に広がっている。


   その美しい姿に、思わず、宍戸も身体の動きを止めて見惚れてしまった。


   鳳は、静かになってしまった宍戸の滑らかな肌にキスを繰り返していた。

   白く光る首筋に噛みついて、赤い歯型を付けてしまった。

   花火の光で、照らし出される引き締まった宍戸の身体は、彫刻のように美しい。

   鳳は、畳の上に膝をつくと、シャツを捲くり、宍戸の背にも舌を滑らせた。

   背中の筋肉の弾力を味わうように、ゆっくりと歯を立てる。そうしながら、相手のジーンズの

   ベルトを緩め、いっきに下着と共に膝まで引きおろした。

   「長太郎! 」

   宍戸の上げた驚きに溢れた叫び声を無視し、鳳は、剥き出しになった白い双丘を撫でまわし、

   その場所にもキスをした。



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